
©︎ 2022 Skopia Film, Alien Films, Warmia-Masuria Film Fund/Centre for Education and Cultural Initiatives in Olsztyn, Podkarpackie Regional Film Fund, Strefa Kultury Wrocław, Polwell, Moderator Inwestycje, Veilo ALL RIGHTS RESERVED
【2023年7月7日更新】
EO イーオー
本年、心に沁みる1本です。
題名の「EO イーオー」は、ロバの名前です。
サーカスで女性と出演していたのですが、ある日、サーカスから連れ出され、ポーランドからイタリアへと予期せぬEOの意志なく旅に出ることになります。
愛にあふれたサーカスの女性と共に居て欲しいと願う間もなくのことです。
愛嬌があって、愛情があって、そして哀愁のあるロバのEOの旅は、いつしか自分自身がEOの立場になっているのです。
言わば、EOの人生行路を体験していく感じです。
戦争、差別、自然災害、コロナ禍など私たち生きているこの現代には、つらいことや悲しいことがいっぱいあります。
そんな中で、けな気に生きているEOはやはり、私たち人間とダブってくるのです。
今年、おんとし85歳になられた(よくぞ作られました)ポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキが監督・脚本です。(俳優でもあります)
脚本「水の中のナイフ」(1962)
映画「早春」(1970)日本でも大ヒットします。
そのスコリモフスキは、生涯で唯一、涙を流したと述懐されているのが、ロベール・ブレッソン監督作「バルタザールどこへ行く」(1966)だそうです。
バルタザールはロバの名前で、無垢な存在として描かれていて、
オマージュのようなことかも知れません。
「私とEOの間に共通点がないとも言えない。EOが孤独であるということ。アウトサイダーであることです。
私は動物の心理に入りこんで、人間と動物との関係性を変えたい。そういったアピールをしようと思ったのです」と、語られています。