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「市川雷蔵映画祭 刹那のきらめき」
雨空のときも、猛暑のときも、サロンシネマと八丁座にお越しいただき、
まことにまことに感謝申し上げます。
お陰様で、「国宝」がヒット中であります。
すでに、リピーターの方もいらっしゃいます。
是非、ご覧になって下さいませ。
ストイシズムに生きた永遠の名優・市川雷蔵
(ストイシズムとは、平静で無関心な態度に生きた男・市川雷蔵、運命を甘受する人生観。)
選びに選んだ作品群なのでどの作品をご覧頂いても面白く見れると思います。
代表ヒット・シリーズになった「眠狂四郎」もの、
これもヒット・シリーズになった「陸軍中野学校」の第1作目。
時代劇の中でも必見、感動の人気作「薄桜記」、
わが広島の巨匠・新藤兼人さんの脚本が圧倒的に素晴らしい「斬る」。
なんと1時間11分は、2時間半のドラマに感じられます。
市川崑監督の「ぼんち」は、笑いと大女優陣の中で雷蔵が負けていない存在感。ラストがすごい。
市川崑監督の「破戒」は傑作中の傑作。
こういう抑えに抑えた演技は素晴らしい。よくぞ市川雷蔵演じたものである。
「濡れ髪牡丹」は、京マチ子さんと喜劇としてつくったものだ。シリーズになる。喜劇もできることを証明し拍手拍手!!
2025年6月に86歳でお亡くなりになった藤村志保さんの代表作「破戒」(原作者の島崎藤村からもらって藤村志保とした)、「斬る」(わが広島の巨匠・新藤兼人監督の脚本は女性愛を見事にみせて涙を誘います)。
「眠狂四郎無頼剣」では、狂四郎との掛け合いが見事な演技をみせます、志保さんです。
藤村志保さんの魅力はまず、その少し遅めのやさしいセリフまわしにあるのです。
「破戒」(1962年)でデビュー、そのときの役名、志保、が芸名になった人です。
原作者・島崎藤村をあわせた芸名とか。
藤村志保さん逝く。86歳。度重なる圧迫骨折で療養中、6月12日、肺炎で。
サービス上映
「安珍と清姫」
雷蔵さんと若尾文子さんは、おそらく公私共に気が合ったと想像できます。
ラブシーンがあり、僧である安珍(雷蔵)に清姫(若尾文子)がせまり、着物の前が肌けるときに、
若尾文子さんは、胸かくしもつけず演じていたもので、なんと若尾文子さんの胸が映像にうつっていたのです。
結果、若尾さんもカットを要求せず、いわゆるポロリとして寛大に見れるという、珍作中の珍作なのです。
ヘンな意味ではなくごくごく自然に。
それが若尾文子さんが嫌がっていないところが最高の見せ場になって、
知る人ぞ知る名場面として、男子だけでなく女性の人たちも快く受け入れたのです。
歌舞伎出身の男優、のちに映画界へ転身、
若い頃から胃腸が弱く、1968年、直腸がんが分かり手術しますが肝臓に移転、
その翌年1969年7月17日に37歳の若さで亡くなる。
声が圧巻の素晴らしさで、眠狂四郎のすごみのある声から、ふつうの声までみごとに使い分けていました。
そして、日本映画の大全盛期の「昭和の映画」の魅力を堪能していただきたいです。
監督も脚本も、セットをつくる美術、撮影などなど「斬る」ファーストシーンなど、
一度見たら忘れられないくらいのアングルです。
さまざまなジャンルを市川雷蔵の映画とともにお楽しみいただきたいです。
そして徹底していたのが基本の上映時間が1時間30分でした。
それより長いのは力作というサインでした。それもすごいです。
特筆すべきは、増村保造監督の存在です。
若尾文子さんの特集で詳しく触れますが、4Kデジタル版初上映の「華岡青洲の妻」の監督もされています。
主演は、市川雷蔵さんなのですが、その母役が高峰秀子さん、その母親の美しさと気品と気っぷにあこがれをもつのが裕福な家の若尾文子さんという設定です。
ゆえに、どうかすると、若尾文子さんが主演のようにもみえてきます。
三人主役の味わい深い秀作です。
雷蔵さんも、圧倒的な魅力でせまる高峰秀子さんの存在感もすごいものがあります。
広島出身の新藤兼人さんが脚本を書かれ、広島出身の杉村春子さんが語りをされているのがいいでうね。
「市川雷蔵映画祭 刹那のきらめき」7月11日(金)~7月24日(木)まで八丁座にて開催です。