
「太陽を盗んだ男」
中学の理科の教師がある日、原子力発電所の社会見学を生徒たちを引率していく。
そのとき、大量の火器を持つ老人にバスジャックされる。
この老人の要求は「ただちに皇居に向かい、天皇陛下に会わせろ!」と要求するが、当然無理だった。
無気力にみえたこの教師は、東海村の原子力発電所から、液体プルトニウムを強奪し、なんと、自分のアパートで原子爆弾を完成せんとする。
一番驚くのは「天皇陛下に会わせろ」に、原子爆弾を個人でつくる所業である。
これは、凄いです。
年とともに評価が上がっているのも当然でしょう。
タブーへの挑戦です。
その後、本作をアレンジした映画もなかったはず。
先生役に沢田研二、警部役に菅原文太の組合せもすごい。
1979年、監督・脚本に広島出身の長谷川和彦、共同脚本・原案にレナード・シュレイダー。
「ザ・ヤクザ」(1974年)原作。「男はつらいよ 寅次郎の春の夢」(1979年)共同脚本。「蜘蛛女のキス」(1985年)脚本。
本作の評価はじわりじわりと上り、1999年「映画人が選んだオールタイムベスト100」では13位。
2009年「オールタイム・ベスト映画遺産200(日本映画編)」〈日本映画史上ベストテン〉では、歴代第7位に選出。
2018年「キネマ旬報」<1970年代日本映画ベスト・テン>では「仁義なき戦い」を逆転し、第1位に選ばれている
御紹介が遅くなりましたが、8月14日(金)までの上映です。
是非に!!
1979年/日本映画/長谷川和彦 監督・脚本/2時間27分/原作・脚本 レナード・シュレイダー
当初のタイトルは「笑う原爆」だったそうで、配給の東宝から「原爆」をタイトルに使うのに難色を示し、
「日本対俺」「プルトニウム・ラブ」「日本を盗んだ男」と変わっていき、本作の「太陽を盗んだ男」に決めたそうです。
全くの余談ながら、原爆投下を受けた広島の人たちの多くは「太陽が落ちてきた」という表現を多くの人が使っていたそうです。
ナイスのタイトルになったんですね。

©︎1979 東宝/フィルムリンク・インターナショナル