「冒険者たち」
「カルト・ムービー」と呼ばれている作品があり、さまざまな映画のジャンルの中で、とりわけ礼讃されて何度も見た熱狂的ファンをもつ映画のことです。本作がそうです。
自分で言うと、リアルタイムで高校生で見て、まわりの友人たちもこぞって見に行き、すごい広がりをみせました。そのときは、今の新サロンシネマのあるビルに東映パラスという劇場があって、そこに通ったものです。不思議な感じがあります。
冒頭、さりげなく主人公3人の出会いをみせます。
凱旋門を飛行機でくぐり抜ける賭けをした男マヌー(アラン・ドロン)。それを手伝う親友のローランド(リノ・ヴァンチュラ)は、車の革命的エンジンを作っているエンジニア。ヒロインのレティシア(ジョアンナ・シムカス)は芸術家志望の女の子。それぞれが夢をもちながら挑戦するのですが、ことごとく失敗します。
そんな時、アフリカの海底に眠っている財宝のことを聞き、3人はよしと元気回復し、その夢へと冒険へと出発するのです―
まず、レティシアのテーマにのって現れるジョアンナ・シムカスに魅了されあす。彼女のための映画のようにさえ感じられます。
男2人と女1人の冒険ながら、そこに恋愛的な感じにならず、当時、この3人のことを「聖三角形(せいさんかっけい)」とよび、こういう関係に多くの人が憧れたものです。
後半にでてくるレティシアの実家の近くにある、かつてドイツ軍がつくった要塞島が海に浮かんでいます。一部では有名で個人で行く人もあり、この映画の公開後ツアーで見学する人も多く、なんともいえない良いロケ場所を見つけたものです。現在では多くの人が見学されて、あの町の重要な収入源になっているとか。
夢についての映画、あきらめないことについての映画、青春の勇気についての映画、一度見たら忘れられない快作の傑作で、アラン・ドロンの七変化(ヒゲをはやしたり、スーツだったり)を見事にとらえているのが、これまたうまいです。監督ロベール・アンリコは、本作で忘れられない監督に。音楽のフランソワ・ド・ルーベの「レティシア」のテーマも哀愁があり、サントラがよく受けました。
是非是非ご覧になって下さい。冒険者たち精神に魅了されます。
1967年 フランス・イタリア合作映画 1時間53分 シネマスコープ
©︎ Societe Nouvelle de Cinematographie(SNC)-Paris 1967.