
©︎2025 A Pale View of HIlls Film Partners
「遠い山なみの光」
ポスターのキャッチコピーが目を引きますね。
「その嘘に願いを込めた」
個人的に一番印象的だったのが、広瀬すずさんの悦子役が、いつも、洋服でも和服でも、髪型、メイクがまったく同じに見えたことでしょうか。
そこは「記憶」ということでいつも同じと判断しましたが、常に美しく。
悦子の「私は被爆してないから」というセリフに違和感が残ります。
原作者のカズオ・イシグロさんは「こういう記憶もいずれは曖昧になって、
いま思い出せることは事実と違っていた、ということになる時が来るかも知れない」と。
記憶というのは、たしかに当てにならないものだ。
思い出すときの事情次第で、ひどく彩りが変わってしまうことは珍しくなくて、私が語ってきた思い出の中にもそいういうところがあるに違いない、とも言われています。
1952年の長崎の悦子役は広瀬すずさんで、1982年イギリスの悦子役は吉田羊さんです。
2つの時間を悦子を軸として物語は展開していきます。
そして、母(悦子)の半生を作品にしようと考える悦子の娘ニキの現在と、母の過去の記憶がリンクしていくのですが。
もう一人、佐知子(二階堂ふみさん)がミステリアスです。
米兵と関係を持っていたことが示唆されます。
1956年は売春防止法がまだ法的に決まりがない頃で、
長崎は戦前から遊郭、遊里文化があり、戦後もその延長で売春が行われていた土地柄でした。
川沿いや空き地にバラック(粗末な小屋)が多く建てられてました。
佐知子は「恥を忍んで、なでもやった」と話す
そういうバックボーンの中の「ヒューマン・ミステリー」で、解釈様々の作品です。
三大女優共演ということもあって、とてもヒットしています。
好みはそれぞれに分かれるでしょう。

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